「6年間も大学で勉強したのに、
薬剤師って年収低すぎる!!」
そのように思った薬剤師は多いのではないでしょうか?
私もその一人です。
薬剤師の年収が低すぎる理由を知ることが出来れば、自ずとその改善策も見えてくるもの。
今回はその理由と年収をアップさせる方法などについて詳しく説明していきたいと思います。
薬剤師の年収の低さは業種差
新卒薬剤師の約85%以上が病院、調剤薬局、ドラッグストアに就職しています。
その業種ごとによっても年収は大きく異なっており、一般的に
ドラッグストア > 調剤薬局 > 病院
の順に年収が大きいとされています。
20~30代前半の目安だと
・ドラッグストア:年収600~800万
・調剤薬局:年収400~600万
・病院:年収300~450万
となるでしょう。
ちなみに、
この上限を基準に25~65歳までの40年間働いたとすると、生涯年収は
・ドラッグストア:3億2000万
・調剤薬局:2億4000万
・病院:1億8000万
となります。
業種を変えれば少なくとも生涯年収で6000万円以上の差が出てしまうのです。
生涯で考えるとここまでの差が出るのは、直感的に知っていても良いかと思います。もちろん役職アップなどで年収には変動があるのであくまでも参考程度に。
薬剤師の年収の低さは病院や会社の差
病院によって年収差がある理由
病院ごとに年収差がある大きな理由としては、以下の2つが挙げられます。
・病院長や理事長からの信頼
・薬剤部(科)の実績
それぞれ詳しく説明していきたいと思います。
病院長、理事長からの信頼
年に一度、全ての病院で機能評価が行われているのをご存じでしょうか?
これは病院全体だけでなく、各部署の機能評価も行われています。
この評価にはS~Cの4段階で格付けされており、B評価がOKラインとなります。
詳細は、公益財団法人日本医療機能評価機構「昨日種別と評価項目」をご覧ください。
特にS評価は秀でていると判断されているため、病院側(病院長や理事長)もその部署に対しては信頼を寄せることになります。
そのため自ずと信頼が上がれば給料は上がりやすいと言えます。
この部署ごとの機能評価というのは一般公開されていません。
直接聞くか、転職を考えているなら転職エージェントに依頼するのが良いでしょう。
薬剤部(科)の実績
この場で言う実績とは、学会発表の頻度やその受賞の有無、専門資格の取得などを指します。
特に学会発表というのは院外への影響力がとても大きいです。
学会発表で病院の名前が出る数が多ければ、より多くの人に認知される病院となるからです。
そのため、病院薬剤師なのに以外と給料が良い?という場合には実績が多いケースも多いのです。
もし、学会発表や専門資格を取得したいという意欲が強ければこういった病院に移動するのもアリだと考えます。
しかし、一つだけ注意しなければいけない点もあります。
「ただ人員が少なく給料が多い場合」です。
そのような場合は、スキルアップはおろか逆に抱える仕事が増えていく一方でストレスが蓄積、最悪体調を崩すなんてこともあります。
そうならない為に、先述した各部署の機能評価を聞くことでそのリスクは容易に回避できるでしょう。
会社によって年収差がある理由
中小企業と大手企業で年収には大きく差があります。一般的に、
・調剤薬局なら大手企業の方が年収が低い
・ドラッグストアなら大手企業の方が年収が高い
とされています。
これは店舗拡大や広告費、人員確保などに資金をどの程度費やしているかに影響が出ていると考えられます。
一概にどちらが良いかとは言えませんが、各々のキャリアプランに合わせて決定するのが望ましいと思います。
特に注意する点としては、提示年収だけを見ないことです。
どういう事?と思った人も多いと思うのでお伝えします。
企業によっては税制面を考慮して、家賃手当や通勤手当などを充実させているケースがあります。
例えば住宅手当で月5万の手当てがあったとすると1年で60万円の手当てがあることになります。
企業からのこういった手当は基本的に非課税となりますので、
この60万円分には税金がかからないのです。
さらに具体的にお伝えすると、
60万円の住宅手当があり、提示年収500万円の場合、税金は約100万円かかります。
その一方、手当がなく提示年収560万円の場合、税金は約112万円かかります。
その差なんと、12万円です。
会社側も手当として出費している方が、課税額が減るため税制対策をしている会社は手当も厚くなるのです。
改めてお伝えすると、提示されている年収だけで判断せず、手当の有無も考慮するとより手取り年収を増やすことが出来ます。
薬剤師の年収の低さは地域差
皆さんも知っている通り、首都圏は人が集まりやすく人員収集に困ることは稀です。
しかし、電車の通らない場所、閑散とした土地では人でが不足しているため高い年収での公募があります。
この記事を見ている皆さんも比較的、薬剤師人数の多い地域に住んでいることでしょう。
「地方の薬局はつまらなそう」
「人が少なくて何とかなく抵抗感がある」
そんな声も聞こえてきますが、実はそれに反していい面も多いのが事実です。
実際、地方転職した人ほど楽しく生活しているなと感じたことがあるほどです。
理由は大きく3つあります。
・自然が多くリラックスできる
・人間関係のストレスが少ない
・お金が溜まりやすい
私がクラウドワークスで100人に聞いた転職に関するアンケートを行いました。
その結果、なんと転職後に後悔した理由のほとんどは「人間関係」でした。
地方の職場では、人が少ない分ゆったりとした人が多く、怒られたり急かされたりするストレスがかなり少なくなります。
その分、思った以上に過ごしやすいぞ?と感じるわけです。
また、首都圏で過ごしていた人は、リラックスする時間を取れていないことが多いのも事実。
地方で暮らすことでリラックスする環境が常に身近にありハマってしまうんだとか。
あとは何より、年収アップと自然とお金を使う事も相まって、貯金額が大幅に増えるようで、その金額を見て充足感を味わえるようです。
人によっては、そのお金を使って新しい趣味や将来の為の資金としているようです。
薬剤師の年収の低さは忙しさで変わる
これは実際の年収の額を言っているわけではなく、行っている業務と年収が見合っていないというケースです。
「忙しい職場とそうでない職場でなぜ給料が同じなのか」
と感じることはありませんでしたか?
特に医療の現場ではミスが命取りになるケースもあり、働く場所によって求められる薬剤師の質も異なります。
これは自分ではなかなかコントロールできるものではありません。
職場のトップの人に上手く伝えて自分にあった職場に変えてもらうか、エリアマネージャーとの接点も持つようにしましょう。
あなたが感じているストレスは今後どのような形で戻ってくるか分かりません。
一番大切なのは、
会社ではなく「自分自身」です。
自分の首を絞めない為にも負担になっていることは伝えていくようにしましょう。
認めてくれない場合には、職場を自分から帰るのも一つの手です。
薬剤師年収を上げる方法と注意点
ここまで、薬剤師年収が低すぎる理由をお伝えしていきました。
その内容を踏まえて、年収を上げる方法と注意点についてまとめていきたいと思います。
★年収を上げる方法としては
・他の業種や会社へ転職する
・現状維持で役職アップを狙う
・スキルアップして手当を狙う
・地方に移動する
が予想されるでしょう。
しかし、必ずデメリットも知っておく必要があるでしょう。
<転職するデメリット>
実際、私がクラウドソーシングで転職に関するアンケートを100人に実施したところ、転職して後悔した理由の約7割が「人間関係」でした。
やはりせっかく馴染めた環境を手放すには相応のリスクが伴うようです。
しかし、人間関係の構築で大変な時期は転職後半年~1年間であることがほとんどです。
その慣れるまでの半年~1年が、生涯年収の差(約8000~1億6000万円)と同等なのかと考えると判断しやすいかと思います。
その半年~1年を乗り切ることで、家族と楽しい思い出を作ったり、新しい新居へ引越しすることもできるというメリットはかなり大きいと感じます。
・人付き合いが苦手ではない人
・プライベートを重視している人
・何にでもやりがいを見出せる人
であれば他業種への転職は大きなメリットとなるでしょう。
薬剤師の転職&派遣ならファルマスタッフまた、どの程度手当が出るのかを確認しておくと、税制面的に有利になりますので参考程度に知っていただけると良いでしょう。
<役職アップを狙うデメリット>
役職が上がると確定している人は除くと、いつ役職が上がるのか分からない場合、今と同じ状況がひたすら続く可能性があります。
もちろん役職が上がらない可能性もあるわけです。
・病院では5~10年
・調剤薬局やドラッグストアでは3~5年
で役職が上がるケースが多いようですが、これもあくまでも目安です。
人数的な影響やその人個人の能力的な影響も加味されるとなると、その年数を当てにするのもリスクはあります。
メリットとしては、同じ職場あるいは似たような環境であることは変わらない為、
働き方や、周りの環境でストレスを感じることは少なくなるという点です。
もちろん役職が上がることで責任は増えますが、今まで見えなかった見方が出来るようになるのはプラスの経験となるでしょう。
さらに役職が上がればさらに先のキャリアアップの道しるべもできます。
<スキルアップを狙うデメリット>
薬剤師の中でも専門資格と呼ばれるものが多数存在しています。
特にスキルアップし、手当による年収アップを狙う場合、
求められる資格は、
・がん領域
・緩和領域
・腎臓領域
・糖尿病領域
・栄養領域
のものが多いです。
これらの資格を習得するのには、
・学会への登録
・単位取得
・資格試験を突破
する必要もあるため、時間もお金も膨大に消費します。
手当も大手で最大月5万となりますが、労力に比べると何とも。というのが正直なところです。
しかし、専門資格のため資格習得後は更なるやりがいや教育に回るなどのキャリアプランを立てることも可能になります。
より早く専門資格を習得したいというのであれば、それに特化したような職場に変えるのも一つの手段と考えます。
実際に、専門資格を目指し、調剤薬局から病院などの医療機関へ転職している人もいるくらいです。
やりがいや教育に興味のある人であれば、資格取得を目指すのは大きなメリットになるでしょう。
<地方に移動するデメリット>
地方に移動する際のデメリットとしては、
・友達が少なくなる
・お店が早く締まる
などのプライベートな点が多いように思えます。
しかし、先述した通り地方に移動した人で後悔している人は意外と少ないです。
むしろ、以前よりもイキイキしているケースも多いため、
・日々の仕事に疲れた
・少し休みたいけど仕事は止めたくない
という人には、とても良い機会になります。
自分が納得できる働き方を見つけていこう
薬剤師の年収が低すぎると嘆いているだけでは、あなたの年収はほぼ変わらないでしょう。
自分が納得して働くためにも一歩踏み出す勇気を持ちましょう。
何も行動せず、「あの時○○しておけば良かった」と後悔したくないと思うのはあなたも例外ではありませんよね?
スキルアップでも役職アップでも転職でもいいです。
少しでも現状に不満、将来への不安があるのであれば、行動していきましょう。
その先にはきっと良い未来が待っています。